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「3本の矢」を復習してみましょう。 第1の矢は「デフレを克服するための積極的な金融緩和」です。 「デフレを克服」と「金融緩和」がキーワードです。実はここ10数年来デフレでした。デフレは物価全体が下がっていくこと、困るんです。なぜなら、オリックス宮内会長の言葉を借りると、「デフレはモノの値段全体が下がる。お金を持っている方は何もしないでじっとしているほうがいい。モノを買うと値が下がり、投資すると価値が下がるからしてはいけない。だから消費も投資もしないでじっとしていれば、モノの価値が下がってお金の価値が上がるから、リスクなしで実質的な資産を確保できる。これがデフレです。」 デフレは資産を持っている方には非常に楽な状況といえますが、経済は大変です。消費も投資も起こらない。諸悪の根源はデフレにある、そう考えた安倍総理の判断は誠に正しいと思う。 では、どうしてデフレになったのか? 日本では間違った学説が流布しました。「日本でデフレになったのは人口が減少し需要が増えないからだ。」大変もっともらしいですが、明らかに間違いです。なぜなら、デフレになったのは日本だけです。しかし世界で人口が減少した国は24あります。ロシアやウクライナは人口が減少していますが、5%物価が上昇しました。 人口が減ると需要が減りますのでデフレ的になりやすいという傾向はありますが、人口が減ったからデフレになったというのは間違いです。 結局残った原因は「マネーの量が少なすぎる」です。ここ10年くらい先進国はマネー全体の量を5%程度、毎年増やしてきました。経済の成長と同時に増やしてきましたが、日本では1~2%しか増やしませんでした。これではやはりデフレになります。この構造をを根本的に変えたい、これが第1の矢。安倍総理は就任後すぐ、日銀と政府との間で新しい合意を結びました。日銀は最初抵抗しましたが、最終的には+2%の物価上昇目標を持ち、これを実現するための黒田さんという新たな総裁を迎えました。 黒田さんは3月に就任後、最初の4月の政策会合で日銀の政策を変えました。日銀のベースマネーを2年で2倍にするという政策を掲げました。その途端に、海外の投資家が「これで日本の意識が変わる」と期待し、株が結果的に57%上がりました。 少なくとも、第1の矢は現時点で順調に「飛んでいる」いえると思います。 第2の矢は「機動的な財政政策」です。 ワイドショーでは積極的にお金を使うことだ、財政拡大だと報じていますが、これは間違いです。機動的な財政政策とは、 短期的(去年~今年):財政を拡大する。赤字でも構わないので、政府の支出を増やして景気を良くする。 中期的(2020年まで):財政再建をする この2つを併せてやることをいいます。 前半についてはちゃんとやりました。去年10兆円、今月に入っても5.5兆円、補正予算で全部で15兆円の追加的な財政拡大しています。今行われているような道路工事的なお金の使い方に賛成・反対はあるでしょうが、これが景気を支えている、これは間違いありません。日銀短観でも近年にないいい状況になってきています。 後半についてはどうでしょうか。 去年、政府は4年ぶりに「骨太方針」つまり経済政策の基本方針を発表しました。民主党は基本方針がないまま場当たり的な運営をしたので、日本経済が停滞しました。復活した基本方針の中で2020年までにやるとされたことが書かれていますが、 ・どのように経済を成長させ税収を増やすか ・どのくらい、どのようにして歳出を抑えるか ・どのくらい税負担を求めるのか といった具体的な内容については、まだ示されていません。 実は意外と話題にはなりませんでしたが、去年8月の経済財政諮問会議で内閣府がその枠組みについて話しています。これから2020年に向け財政再建をするためには、成長率を実質で2%、名目で3.4%に高め、社会保障をけずり、その上で消費税を最終的に14%程度に上げて財政再建をするという絵を描いています。消費増税は、大変な前提条件付の14%です。相当規制改革をし、成長率を相当高めて、高齢者の社会保障負担も相当落とし、その上で消費税を14%に上げる、これを全部やるという話です。もし、何もしないで消費税のみで財政再建するなら、モルガンスタンレーの試算では30%以上になります。それだけ、相当のことをやらないと財政再建にならないということです。 年金額の引き下げ・年金の支給開始年齢の引き上げ、やらないとできないです。この課題は大変大きいと思います。そもそも、今のまま年金を支給し続けるのは無理がある。なぜなら、年金の支給額全体を見ると、日本はGDPに対する比率がイギリスよりも高く、医療費もOECD平均よりもよりも高い。個々にみると年金も社会保障も不足して不満はありますが、全体としては世界の中でもそこそこやっています。日本の中で圧倒的に遅れている社会保障は「若い世代向け」の保障です。具体的には ・産休のときの所得保障 ・子育て休暇 (育児休暇)の所得保障 ・女性の子育て後の職場復帰 (職業訓練) のような、いわゆる家族のための社会保障は、日本はGDP比でイギリスの約1/4です。本当は消費税引き上げ分は若い世代向けに使うべきだと思います。そのためにはまず経済を成長させ、税収を増やし、増加する社会保障を抑えるということが必要だと感じます。 第3の矢は「成長戦略」です。 浜田先生は"E"だといいましたが、私はそれほど低くはないと思います。 まず経済成長の戦略として2つ申しあげます。 「日本の生活水準はそこそこ高いんです。ぎすぎす競争して経済成長1%高めるよりも、今あるものを十分に活用して、絆を大切にして、憲法を大切にして、伸びやかにいきたい。経済成長なんて古い考え方だ。」と、ワイドショーのコメンテーターのような大変耳障りのいいコメントを言われることがありますが、私は、成長率が1%高くても低くてもあまり構わないという意見には絶対同意できません。 実は、ハワードの本の中に経済成長に関するわかりやすいエピソードがあります。 1950年のアルゼンチンは世界の中の先進国でした。アルゼンチンの1人あたりGDPは、フランスよりも高かったのです。ところが今、フランスの1人あたりGDPはアルゼンチンの2.4倍です。当然のことながら、フランスの成長率が高かったからです。成長率の差は1.5%、わずかですが、1.015の65乗は2.4~2.5、成長率の差1.5%が65年続くと2.4倍になります。経済成長は大事で1%でも高めることが大事です。 だいたい、今日の生活水準があるのは、私たちの親や祖父母が頑張って1%でも高い経済成長率を積み上げてくれたからではありませんか。日本はもっと経済成長に積極的であるべきだと、私は思っています。
by seki_soken
| 2014-03-17 05:34
| 関よりひとこと
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